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2018年11月17日更新 サウジ領事館内で政府に批判的な記者が失踪 殺害疑惑 各国の反応

更新日:2018年11月20日

サウジアラビア人の反政府記者であったジャマル・カショギ氏が、イスタンブールのサウジ総領事館訪問後に、行方不明となった。


サウジ当局は当初、カショギ氏が領事館内で死亡したとの見方を否定していた。


●2018年10月20日 声明で、領事館で面会した記者との間で争いが起きたために命を落としたと説明した。サウジ国籍の18人を拘束したと明らかにした。サウド・カハタニ王室顧問と情報機関の上層部であるアハメド・アシリ氏など、高官5人がサルマン国王によって解任された。国王は情報機関の立て直しに向け、ムハンマド皇太子をトップとする委員会の設置も指示した。


●2018年10月21日 ジュベイル外相はカショギ氏は「ならず者の仕業」で死亡したと述べた。 アメリカ合衆国では共和党のコーカー上院外交委員長が、ムハンマド皇太子が殺害を指示したとの考えを示している。


・トルコのエルドアン大統領は10月23日に調査の情報を発表する。


→欧州をはじめ各国から詳しい調査と真相の解明真相の解明を求める批判の声が相次いでいる。

トランプ氏の対応:サウジに対して非常に厳しい対応を見せたり、経済制裁を示唆する発言もあれば、同盟国サウジの役割を重視する、融和的なものもある。

ドイツや英国:説明が不十分だとし、各国からのサウジへの武器販売に疑問を投じじた。メルケル独独首相は、真相が明らかになるまででサウジへの武器輸出を停止する方針を示した。

フランスとEU:徹底調査と説明説明を求めている。


●2018年10月23日 G7外相、サウジの殺害事件を最も厳しい言葉で非難。

サウジの説明には多くの疑問が残るとし、この件の捜査に徹底的で信頼性と透明性と迅速性を求めた。

・エルドアン大統領によると、事件当日の不審な点として総領事館の監視カメラハードディスクのデータが抜き取られていたこと、治安情報要員や法医学専門家などの15名が何者かの命令で総領事館に集められていたことなどがある。


● 2018年10月24日

・仮にサウジ皇太子が殺害にかかわっていた場合、サウジに多くの武器輸出をしているアメリカは、非人道的行いに対し、ドイツのように武器輸出を停止せざるを得なくなる。サウジへの武器輸出が停止されると、アメリカ側にとって経済面だけでなく雇用の面でも大きく影響を受けるため、中間選挙を控えるトランプ大統領はあまり口を出すわけにいかないのではないだろうか。

・ 経済フォーラムにはソフトバンクや外国銀行など欠席が多く出た。24日、サウジはこれらの欠席に対し、処罰を与える方針はないと発表。


●2018年10月25日  サウジが計画的殺害を認めた。 トランプ大統領がここまでで一番厳しい批判意見 ムハンマド皇太子を非難。また事件判明当初のサウジの隠蔽行為を激しく非難した。「歴史上最悪の隠蔽だった」

*武器輸出停止より重大な事だと判断したのか、雇用喪失が実際のところ影響が少ないのか。中間選挙への影響はどの程度なのだろうか

● 2018年11月12日

・ニューヨークのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が35年ぶりとされる10日連続の下落。サウジ記者殺害によりサウジが原油を武器として使うシナリオが懸念されるなどの影響がある。理由1、記者殺害事件の影響が長引き孤立を回避する必要が出てきた。トランプ政権による原油価格批判に対し、サウジも具体的な協調の姿勢を見せることとなった。理由2、トランプ政権は日本、中国、インドなど石油をよく消費する大国に除外措置を認めたため、サウジが行った米国のイラン産原油禁止措置に対応するための増産は供給過剰を懸念させてしまい、売り傾向となった。

・トルコはサウジと協議を行った。自国を舞台に起きた殺害事件の真相解明に全力を挙げている。

・米紙ニューヨーク・タイムズは、殺害に関与したサウジ当局者が犯行現場から、ムハンマド皇太子の側近に「行為は終わったとボスに伝えて」といった電話をしていたと音声記録の内容に基づいて報じた。

●2018年11月15日

・米財務省がサウジ政府高官ら17人に対し、事件後初めて制裁を発表。

内容は米国内の資産凍結、米国人との取引禁止

・遺体不在のままカショギ氏の葬儀が執り行われた。場所はトルコのイスタンブールにあるモスク。同日にサウジにある聖地メッカとメディナでも行われた。


●2018年11月16日

アメリカ中央情報局=CIAはサウジ皇太子ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指示で殺害が実行されたと結論づけた。記者殺害の計画を、絶大な権力をもつ皇太子がまったく知ることなく実行することはあり得ないと判断してこの結論に至った。アメリカの同盟国ではあるが、厳しい対応や批判は避けられない。

・サウジ:皇太子はこうしたアメリカの報道を否認。また皇太子の関与だけは一貫して否定してきた。殺害を指示したのは総領事館で、カショギ氏を帰国するよう説得するチームのリーダーであるとサウジの検察は主張している。


*米国にとってサウジが重要な理由:

イラン封じ込め政策、対イラン制裁では、世界最大石油輸出国のサウジが市場から失われるイラン産石油の分を埋める余力を持つおかげで、イランへの厳しい制裁を実行できた。

同盟国であり、イスラムの聖地を2つ持つサウジは、アメリカの中東政策、対テロ戦争、イスラム過激主義を抑えるうえなどで重要な国。パレスチナ和平はサウジの協力無しに進めることは困難である。

サルマン皇太子が進めている脱石油、社会近代化の改革が周辺アラブ諸国のモデルになっており、この改革が破綻すると混乱が中東全体に広がる。

・現在、ロシアや中国が、サウジとの関係強化のために接近しようとしている。



*参考 日本経済新聞、ロイター通信、NHKニュース など

*2018.10.23更新 10.24更新 10.26更新 11.17更新

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